歯ブラシだけでは除去しきれない歯と歯の間の汚れに多くの人がフロスや歯間ブラシを使用しています。
しかし、「フロスと歯間ブラシはどう違うのか?」「どちらを使うべきなのか?」という疑問を持つ人も少なくありません。
なかには、歯間ブラシとフロスは【同じもの】と誤解されている方もいらっしゃいます。
フロスと歯間ブラシの違いや、使い分けのポイントについて解説していきます。
★フロスとは?
デンタルフロス(通称フロス)は、ナイロンやポリエステルなどで作られた非常に細い糸状のオーラルケア製品です。この糸を歯と歯の間に通すことで、歯ブラシでは届きにくい歯間部のプラーク(歯垢)や食べかすを取り除くことができます。
フロスは大きく分けて2種類あります。1つは指に巻き付けて使う「ロールタイプ」、もう1つは持ち手がついている「ホルダータイプ」です。ロールタイプは自由に長さを調整できるため細かい操作が可能で、ホルダータイプは初心者にも扱いやすいという利点があります。
★歯間ブラシとは?
歯間ブラシはワイヤーに細い毛が巻き付けられた小さなブラシで、主に歯と歯の隙間が広い部分の清掃に使われます。ブラシの太さには複数のサイズがあり、自分の歯間の広さに合わせた適切なサイズを選ぶことが大切です。歯間ブラシは特に、加齢や歯周病の影響で歯間が広くなっている人や、ブリッジ、インプラントなどの補綴物がある人に適しています。また、矯正治療中の方にとっても歯間ブラシは非常に有効です。
➡使用感と使いやすさの違い
フロスは、歯と歯がぴったりくっついているような狭い隙間でも使用できる点が特長です。細かい隙間に糸を滑り込ませ、歯の側面に沿って上下に動かして清掃します。慣れるまではやや技術が必要で、最初は出血することもありますが習慣化することで効率に清掃ができ歯ぐきの腫れを治すことができます。
歯間ブラシは、適切なサイズを選べば簡単に使える上、歯間のプラーク除去において非常に効果的です。狭い歯間に無理に挿入すると歯茎を傷つける恐れがあるため注意が必要です。歯科衛生士による使い方の指導をうける必要があります。また、ブラシ部分が摩耗しやすく、定期的な交換が求められます。
➡フロス・歯間ブラシの長所と短所
フロスの長所は、非常に狭い歯間にも入れやすく、歯の側面全体をしっかりと磨けることです。特に前歯など、歯間が狭くて歯並びが良い部分にはフロスが最適です。しかし、奥歯や歯並びが悪い部分では操作が難しいことがあります。
歯間ブラシの長所は、使用が簡単で、広い歯間には特に高い清掃効果を発揮することです。その反面、細い歯間では使いづらく、無理に使うと歯茎を傷める危険性があります。
➡フロスと歯間ブラシの使い分け
理想的には、歯間の状態や口腔内の状況に応じてフロスと歯間ブラシを使い分けるのが最善です。歯間が狭く健康な歯肉である場合はフロスを、歯間が広く歯茎が瘦せている場合や補綴装置がある場合には歯間ブラシを使用するのが望ましいです。
歯科医師や歯科衛生士による口腔内のチェックを受け、自分の歯間に適したケア用品の選定をアドバイスしてもらうことも大切です。間違った器具の使用は逆に歯肉の弊害となることもあります。
さまざまな種類のフロスや歯間ブラシが存在しており、どれを選べばよいか迷う方も多いかと思います。フロスであれば、ワックス付きタイプは滑りが良く、初めての方にも使いやすいとされています。一方で、ワックスなしタイプはよりしっかりとプラークを絡め取る力があるため、慣れた方に適しています。
歯間ブラシの場合は、サイズ選びが非常に重要です。一般的には4SからLサイズまで複数の太さが展開されていますが、自分に合わないサイズを使うと、効果が得られないだけでなく歯茎を傷つけることになります。不安な場合は歯科医院でサイズを確認してもらうのがおすすめです。
また、どちらの製品も使い捨てではなく繰り返し使えるものもありますが、衛生的な管理が必要です。フロスは毎回使い捨てることが望ましく、歯間ブラシも数回の使用ごとに新しいものに交換することで、細菌の繁殖を防ぐことができます。
セルフケアとしてのフロスや歯間ブラシの使用は非常に重要ですが、限界もあります。自分では見えない部分にプラークや歯石が残っていたり、磨き残しが慢性的に起こっていたりする場合もあるため、定期的に歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けることが推奨されます。
歯科医院では、歯のクリーニングだけでなく、個々の口腔環境に応じた最適なケア用品の提案や、使い方の指導も受けられます。
気になることがございましたら一度歯科医師・歯科衛生士にご相談ください。